映画の相乗効果?『ミスター・ルーキー』〜阪神がもしかして…〜
3月23日から上映されていた『ミスター・ルーキー』が、今日19日までの予定のところを関西地区のみ、異例のロングラン上映になることが決まった。本県は予定通り、19日で上映が終了となるので、取り上げるのはいささか気が引けるのだが、筆者の“野球好き”に免じてお赦(ゆる)し願いたい。
物語の主人公は、甲子園予選の県大会決勝で肩を壊して以来、野球から離れ、今は妻子に囲まれ、普通にサラリーマン生活を送る大原幸嗣。
ある日、阪神タイガースのトレーナーと出会い奇跡的に肩を治してもらう。あのころの豪腕が復活し、それを見込まれ、大原は阪神の監督に入団を勧められるが、妻子を抱え安定した生活を捨てる勇気がない。そこで監督が出したアイデアが、地元甲子園限定で覆面をかぶって登板するパートタイム・ピッチャー。名前は“ミスター・ルーキー”。そして、長年低迷していた阪神は、この謎の覆面投手の活躍で快進撃を続け、優勝を争うまでになるのだった…。
本作の製作が発表されたのは昨年夏。相変わらず最下位の阪神で監督は野村。主役は野村にヤクルト時代、粗大ごみ扱いされた長嶋一茂、演技は素人に毛が生えた程度。しかも彼は阪神の天敵ミスター・ジャイアンツの息子。これを誰が見に行くだろうと思われた。
ところが、昨年秋、野村監督は、夫人の脱税問題から辞任。星野監督が就任。そこからムードが一変。今年春のオープン戦からペナントレースに入っても阪神は驚異的な勝率で勝ち進み、現実が映画についていくような形になっている。そして映画では阪神が劇的優勝を遂げ、超満員の甲子園球場に応援歌「六甲おろし」の大合唱が響き渡る。
昭和60年以来、優勝から遠ざかっている阪神ファンにはこの大合唱がたまらない。「六甲おろし」を歌いたくて劇場に足を運ぶファンが多いという。もちろん、これは関西地区の現象で、現在までの入場者数のほぼ半分を関西地区で占めるほどの、地域限定ヒット・ロングランという珍しい状況になったようである。これは、映画と阪神タイガースの世にもまれな相乗効果なのだろう。今年の阪神は、もしかして…。
『蕨野行』、『アルカディア』、『たそがれ清兵衛』と本県ロケ作品の撮影状況が、このところ紙面をにぎわし、嬉(うれ)しい限り。シークレットにされていた『アルカディア』の配役が発表。永島敏行、松原千恵子、浅茅陽子、鹿内孝、ガッツ石松、毒蝮三太夫ら錚々(そうそう)たる俳優が、新人の吉永雄紀、大貫あんり、そして須貝智郎さんを支える。
裕次郎と共に全盛時の日活を引っ張ったスター小林旭が、当時からの斉藤監督との友情に応えて出演するのも話題だ。
2002年4月20日 (敬称略)